ストレスでぎっくり腰になりやすくなるって本当?

「精神的なストレスがぎっくり腰の原因になる」と聞いたら、あなたはどのように感じるでしょうか?

まったくイメージがわかないという方も、なんとなくそうかもしれないなと感じる方もいらっしゃるかもしれませんね。

実は、精神的なストレスやネガティブな思い込みといった心理的な作用は、ぎっくり腰を引き起こしやすくし、さらに症状を悪化させる大きな原因となるのです。

今回の記事では、この精神的なストレスとぎっくり腰の関係性についてご紹介していきます。

精神的ストレスがぎっくり腰に悪影響を与えるのはなぜ?

「精神的なストレスはぎっくり腰を悪化させる原因となる」と聞くと、なんだかまだ不思議なようにも感じるかもしれません。ここでは、まずは精神的ストレスが身体に影響を具体的にイメージしてもらいやすくなるように、わかりやすい例を2つご紹介します。

ストレスが身体に影響を与える例①ストレスによる自律神経の乱れ

大事な場面で緊張をしすぎて胃が痛くなったという場面は、多くの方が経験をしたことがあるのではないでしょうか?

・小学生時代、音楽の授業でクラスメイトたちの前で一人で歌わなければいけないというときに、体調が悪くなって保健室に駆け込んだ

・社運を賭けたプロジェクトを大事なクライアントの前でプレゼンをしなければならないというときに、急にお腹の調子が悪くなった

・毎日イヤミを言ってくる上司が嫌いになりすぎて、顔を見るたびに頭痛や胃痛が起こるようになった

などなど、実は精神的なストレスが原因で身体的な不調になるという場面は私たちの身近なところにもいくらでもあるのです。

緊張で痛みやすい胃や腸をはじめとした内臓は自律神経によってコントロールされているのですが、過剰なストレスを受けると自律神経が乱れ、内臓機能にも問題が生じてしまうのです。こういった現象は、自律神経失調症と呼ばれるものの症状の1つです。

ストレスが身体に影響を与える例②思い込みによる症状の改善(プラシーボ効果)

精神的な作用と肉体への影響に関連して、プラシーボ効果という言葉を聞いたことはあるでしょうか?

プラシーボ効果とは、アメリカの麻酔科医であるヘンリー・ビーチャー氏が研究・報告をしたもので、患者に医薬的効果が認められていないまったくの偽薬を投与しても、一定の効果があるとされる作用のことです。

ビーチャー氏は、第二次大戦中に野戦病院で鎮痛剤が枯渇した際に、そのような効果のないただの生理食塩水を強力な鎮痛剤であると偽り、傷ついた兵士たちに注射したところ、兵士たちは痛がる素振りを見せなくなったそうです。このことからビーチャー氏はプラシーボ効果の存在に感づいたのです。

終戦後、ビーチャー氏はハーバード大学医学部にてこのプラシーボ効果の存在を確かめるための実験を行うのですが、ここでは腰痛、頭痛、咳など様々な症状を訴える患者1082人に偽薬を投与を行いました。すると、そのうちの約35%の患者に症状改善の効果が見られたそうです。

効果がないはずの偽薬であっても医師から「医薬的効果があるもの」として伝えられ、処方されれば、患者たちは「きっと症状が改善するはず」と思い込み、その思い込みのせいで本当に病気が治ってしまうのです。

プラシーボ効果についてはこれまでに「自然治癒を考慮していない」、「実験の条件が恣意的だ」といった反証や反論などもあったのですが、最新の研究でも鎮痛剤を服用していると思い込んでいる患者は、脳への痛みのシグナルが届きにくくなるといった、思い込みと生体作用の関係を証明する実験結果も出ています。こんなことが起こってしまうほど、ストレスや思い込みといった精神的作用が肉体に与える影響は大きいものなのです。

精神的なストレスがぎっくり腰を悪化させるメカニズムとは?

ここまでで、精神的なストレスなどの心理的作用が肉体に影響することのイメージがなんとなくは持ててきたのではないかと思います。

では、実際に精神的なストレスがぎっくり腰を引き起こしやすくしたり、悪化させたりするのは具体的にどういったメカニズムなのでしょうか?

実は、職場や家族関係などで精神的ストレスを常に感じている人の場合は、ぎっくり腰が起こりやすくなる様々な原因が増えてしまいます。ここでは、そのようなメカニズムについて、3つ例をあげて説明していきます。

ストレスがぎっくり腰を悪化させるメカニズム①陰鬱な気分になり姿勢が悪くなる

どんな人でも悲しいことや嫌なことがあると、落ち込んだり後ろ向きな考え方になってしまったりしますよね。ストレスで思考がネガティブになり、姿勢が悪くなると、ぎっくり腰を引き起こしやすくなる原因となります。

これは、下を向いていたり猫背な姿勢が続くと、腰部の関節や筋肉に余計な負荷がかかり、血行が悪くなったり、筋肉疲労を溜めやすくする原因となるためです。

さらに、アメリカ・南カリフォルニア大学のスコット博士の研究によって、姿勢が悪い人ほどストレス耐性が弱くなるということもわかっています。

この実験では、胸を張って自信満々な姿勢の方が、猫背でうつ向いた残念そうな姿勢よりも、痛みに対する耐性が高くなったというものでした。つまり、ストレスで思考がネガティブになると、猫背のような悪い姿勢になる、さらにストレス耐性が下がり、ぎっくり腰になりやすくなるという悪循環が発生してしまうのです。

また、姿勢が悪い状態にあるとコルチゾールと呼ばれるストレスホルモンが発生しやすくなることも知られています。コルチゾールが発生すると炎症のコントロールが効きにくくなるので、ぎっくり腰が治りにくくなるという影響もあります。

悲しいことや嫌なことでストレスを受けると、縮こまったり姿勢が悪くなってしまいがちですが、姿勢が悪くなるとさらに悪いことばかりになってしまうので、そういうときほど堂々とした正しい姿勢ができるように意識していきたいですね。

ストレスがぎっくり腰を悪化させるメカニズム②自律神経失調症による複合症状

精神的ストレスが身体に悪影響を出すもっともポピュラーな症状の1つがこの自律神経失調症です。

自律神経失調症は、精神的なストレスが原因で、なんとなく気だるさを感じたり、気持ちが落ち込んでしまったり、寝つきが悪い、食欲がわかないといった精神的な症状から、偏頭痛やめまい、筋肉痛、吐き気といった身体的な症状まで幅広い症状が同時に発生するものです。

ぎっくり腰の原因は、

・運動不足の状態が続き筋肉量が減少している
・慢性的に姿勢が悪く、腰部の筋肉に疲労が溜まっている
・筋肉に必要な栄養素がたりていない

といったものになります。そのため、ストレスによって自律神経失調症になると、複合的にぎっくり腰になるリスクを高めることになります。

自律神経失調症は「責任感が強すぎる人」「物事を真面目に考えすぎる人」などがなりやすい傾向がある症状ですので、自律神経失調症を予防するための、具体的な対策としては、

・仕事や将来、家族関係などの不安を解消できるよう物事をおおらかに考えるようにしてみる
・どうしても自分で解決できない問題があるときは近しい人や、仕事のできる上司に相談する
・精神的な苦しさを常に感じるようであればカウンセラーなどの専門家を頼る
・仕事に疲れたら気心の許せる友人と楽しく飲みに出かける、思い切って長期休暇を取得する

といったアクションを実際に起こすのが良いでしょう。

精神的ストレスは、自分の力だけで解決できるようにするよりも、頼るべきタイミングで頼れる人に頼れるようにすることで緩和していくことができます。

精神的ストレスが、ぎっくり腰のような身体に悪影響を与えるようになる前に、自分自身で精神衛生を保つための対策を持てるようにしておきましょう。

ストレスがぎっくり腰を悪化させるメカニズム③「思い込み」が症状改善を妨げる

精神的なストレスがぎっくり腰の痛み症状を悪化させる、また治りにくくする1番の原因となるのが、この「思い込み」による作用です。ここでの思い込みとは、過剰にネガティブな思考で、自分で自分自身に精神的なストレスを課してしまう状態を言います。

今回の記事の中でも、先ほどプラシーボ効果の例を挙げましたが、これとは逆に、何の作用のない薬を身体に悪影響のある薬だと錯覚したまま処方されると本当に身体に悪影響が出てくるという例もあります。このような効果を、ノーシーボ効果といいます。

ネガティブな思い込みという精神的なストレスが、病気を発生させやすくしたり、症状を悪化させる原因となり、また症状改善を妨げるといった作用にもなるのです。

あなたの周りにも、

「私はもう年だから腰が悪くてね・・・」

と言いながら、だんだんと外に出る機会が少なくなり、年とともに発言もネガティブなものが増えていくおばあちゃんはいないでしょうか?

一方で、

「私は生涯現役だよ〜!」

と、毎朝ジョギングや乾布摩擦をしたり、若者よりもハツラツとしたお年寄りの方もいらっしゃいますよね。

この違いは、もともとの身体の健康状態から来るものだけではなく、普段から思考がポジティブかネガティブかの違いによるものが大きいのです。プラシーボ効果・ノーシーボ効果の検証実験でも、約35%の被験者が思い込みから症状の状態を変化させているという結果が出ている通り、まさに「病(やまい)は気から」ですね。

ぎっくり腰を例にしても、一度ぎっくり腰にかかってしまうと「私は腰が悪くなってしまったんだ・・・」といった思い込みを余計に持ちすぎると、その思い込みが症状を悪化させる原因となります。また、腰が悪いと考えるばかりに、腰をかばう動作で余計に腰の筋肉に負担をかけてしまうといったこともあります。

コルセットといった体幹保護具も、自分が腰が悪いという思い込みを大きくしてしまう要因にもなり得るので、ぎっくり腰の痛み症状がある程度まで緩和してきたらだんだんと着用時間を短くしていくのも良いでしょう。

ストレスでぎっくり腰になりやすくなる?!ストレスとぎっくり腰の関係性とは?まとめ

今回の記事では、精神的なストレスがぎっくり腰を引き起こしやすくしたり、また症状の改善を妨げてしまう理由やメカニズムを説明しました。ストレスが身体に与える影響はこんなにも大きなものなんですね。

あなたも日常生活の中で「ストレスを感じているなぁ・・・」というシーンが増えてきたら、あまりネガティブに考えすぎないようにして、精神的・身体的な健康を維持できるようにしていきましょう。

また、今回の記事では精神的なストレスとぎっくり腰の関係について説明しましたが、こちらの記事で身体的なストレスとぎっくり腰に関する内容も紹介しています。ぎっくり腰になりにくくするための身体的なストレスを予防する方法が、気になる方はぜひこちらもチェックしてみてください。