労災申請

ぎっくり腰が労災認定されにくいワケ

ぎっくり腰労災認定されにくい』、『腰痛で労災申請をしても認められなかった』といったような話を聞いたことはありませんか?これは噂話ではなくて実は本当にぎっくり腰をはじめとした腰痛は労災を認めてくれないケースが多いんです

では、なぜぎっくり腰は労災と認めてもらうのが難しいのか?ぎっくり腰で労災を認めてもらうにはどんな条件が必要なのか?具体的にぎっくり腰が労災と認められたケースは何か?といったことを今回の記事では紹介してきます!

ぎっくり腰は労災と認めれにくいですが、しっかりと条件などを確認して申請すれば認めてもらえるケースもありますし、会社が労災認定したくないだけかもしれないので、そういった場合でも泣き寝入りしないようにぎっくり腰と労災について知っておくと良いでしょう!

日常生活の中でもぎっくり腰は起きうる

労災は認められるのか?

ぎっくり腰が労災認定してもらいにくい理由は大きく2つあるのですが、最たる理由が『腰痛の原因が仕事にあるのか?日常生活にあるのか?が判別がつきにくい』ということにあります。

ぎっくり腰を始めとして腰痛には様々なことが要因になり得ますし、1つだけではなくて複合的に様々な要因が重なって腰痛が引き起こされる場合も多いです。そして腰痛を引き起こす要因の多くは日常生活に潜んでいます

日頃から姿勢が悪くて腰に負担をかけている、運動不足で腰の筋肉が弱っているといった状態で仕事中にぎっくり腰を発症しても、本当に仕事が原因と言えるのかどうかがはっきりしないので労災と認定してくれないのです


加えて、仕事の中にも日常生活と同様の動作をすることがあります。例えば落ちたペンを拾おうとしてしゃがんだり、重いものを運ぶために持ち上げるなどです。

仕事中のこれらの動作でぎっくり腰を発症したとしても日常生活でも取りうる動作だから仕事が原因とは言い切るのは難しいんですね。

そのため労災が認められるか判断する方も、『明らかに仕事が原因とは言えないのに労災を認めてしまっては何でも労災と認定しなければいけなくなる』となってしまうので、ぎっくり腰は労災と認められにくいのです。

会社・事業者は労災認定されたくない

ブラック企業

もう一つ、ぎっくり腰が労災と認められにくい理由があります。それが会社側が労災認定されることを嫌う傾向にあることです。

基本的に労災申請は労働者と会社側どちらが行ってもいいのですが、会社側がやってくれることは少なくて、むしろ労働者が労災申請することも良く思わない場合があります。

その主な理由が保険料を払いたくないからです。もし労働基準監督署に労災申請して労災が認められてしまうと企業や事業主側が保険料を負担しなければならないので、多くの企業はぎっくり腰のみならず他の怪我も労災申請するのを嫌います。

そして労災認定が多くなることで業務形態が疑われるのでは?という心配を抱いて労災の申請を嫌がるケースもあります。

こういった理由から『ウチは労災保険に加入してないよ!』なんてとんでもない嘘をつく企業もあるみたいですが、たった一人でも雇っている時点で労災の加入は義務ですので、労災は必ず利用できます

『業務上腰痛の認定基準』とは?

労災認定基準

ぎっくり腰が労災認定されにくい理由が分かったところで、次はぎっくり腰が労災と認めてもらえる条件を見ていきましょう!しっかりと条件を満たしていれば企業側がどんなに消極的な態度でも労災申請して認めてもらうことが出来ます!

ぎっくり腰をはじめとして腰痛はその原因が仕事にあるのか日常生活にあるのか、判断が難しいことから厚生労働省は「業務上腰痛の認定基準」というものを設けており、この認定基準に当てはまるかどうかで、ぎっくり腰が労災として認められるか判断します。

そして、この「業務上腰痛の認定基準」の中にはぎっくり腰を始めとする腰痛が労災と認められるかどうかを判断するために腰痛を2種類に分けて、それぞれで条件を定めています。

その2種類の腰痛というのが、

  1. 災害性の原因による腰痛
  2. 災害性の原因によらない腰痛

それぞれどんな腰痛なのか?具体例は何か?といったことをご紹介していきます!

災害性の原因による腰痛とは?!

災害性の原因による腰痛

まず災害性とは何か?ということが重要になります。災害性とは他の言葉で言い換えるなら突発性・急激・過負荷といったことが挙げられます。つまり簡単に言うと、仕事上で行う非日常の動作で突発的に行う必要が生じたもので、腰に強い負荷がかかるものです。

※「業務上腰痛の認定基準」では以下のように記されています
業務上の負傷に起因して労働者に腰痛が発症した場合で、次の二つの要件のいずれをも満たし、かつ医学上療養を必要とするときは、当該腰痛は労働基準法施行規則別表第1の2第1号に該当する疾病として取り扱う。

(1) 腰部の負傷又は腰部の負傷を生ぜしめたと考えられる通常の動作と異なる動作による腰部に対する急激な力の作用が業務遂行中に突発的なできごととして生じたと明らかに認められるものであること。

(2) 腰部に作用した力が腰痛を発症させ、又は腰痛の既往症若しくは基礎疾患を著しく増悪させたと医学的に認めるに足りるものであること。


ここで大事なのは1と2の条件両方を満たす必要があるということです。片方だけではぎっくり腰やその他の腰痛は労災認定してもらえなくなります。

また基本的にぎっくり腰(急性腰痛症)は労災認定されないことになっていますが、『災害性の原因による腰痛』に該当する場合は労災と認めてもらうことが出来ます。もし悩む場合は労働基準監督署に一度状況を詳しく説明して審査を待ちましょう!

具体的な事例

重いものを持つ

それでは、具体的に『災害性の原因による腰痛』として認められるケースについてご紹介します。いずれも「業務上腰痛の認定基準」に記載されている例です。

  • 例1)

    重量物の運搬作業中に転倒したり、重量物を2人がかりで運搬する最中にそのうちの1人の者が滑って肩から荷をはずしたりしたような事故的な事由により瞬時に重量が腰部に負荷された場合

  • 例2)

    事故的な事由はないが重量物の取扱いに当たってその取扱い物が予想に反して著しく重かったり、軽かったりするときや、重量物の取扱いに不適当な姿勢をとったときに脊柱を支持するための力が腰部に異常に作用した場合

ぎっくり腰,認められない

逆にぎっくり腰が労災と認められないケースもご紹介します

  • 例1)

    落ちた書類やペンなどを拾おうとしてしゃがんだらぎっくり腰になった。
    ⇒突発的ではあるが非日常の動作ではないし強い負荷がかかったわけでもない

  • 例2)

    業務上いつも運んでる荷物を運んでいるときにぎっくり腰になってしまった
    突発的ではないので労災とは認められにくいです

災害性の原因によらない腰痛とは?!

次に『災害性の原因によらない腰痛』の場合の条件をご説明していきます。『災害性の原因によらない腰痛』とは前述した『災害性の原因による腰痛』とは反対に業務上必要な動作を長期間繰り返すことで腰痛になった場合の事を指しています。

そのため、ぎっくり腰の場合は正式名称が急性腰痛症というように、突発的に起こるものなのでぎっくり腰が『災害性の原因によらない腰痛』と判断されることはあり得ないので、ぎっくり腰以外の腰痛で労災を申請したい場合に参考にしてください

『災害性の原因によらない腰痛』が認められるための具体的な条件は、「業務上腰痛の認定基準」によると

  • (1) 「筋肉等の疲労を原因とした腰痛」
  • (2) 「骨の変化を原因とした腰痛」

この2つの場合に分けられます。(1)が比較的短期間(約3カ月以上)、(2)が長期間(約10年以上)という時間的な制約がある点で注意が必要です。

具体的な事例

重いものを運ぶ

では具体的に『災害性の原因によらない腰痛』と認められる例を見ていきましょう!いずれも「業務上腰痛の認定基準」からご紹介しています。

(1) 「筋肉等の疲労を原因とした腰痛」の具体例

  • 中腰の姿勢で約20kg以上の重いものや重さの違うものを繰り返し扱う業務
  • 腰にとって不自然な姿勢を保ちながら行う仕事(配電工など)
  • 長時間立つことが出来ず、同一の姿勢を維持する業務(運転手など)

これらの業務に約3カ月以上、携わった結果として腰痛を発症した場合は労災認定を受けられることがあります。


(2) 「骨の変化を原因とした腰痛」

  • 30kg以上の重いものを労働時間の1/3以上にわたって持ち上げるなどして取り扱う業務
  • 20kg以上の重いものを労働時間の半分以上にわたって持ち上げるなどして取り扱う業務

これらの業務に約10年以上、関わったために腰痛を発症した場合は労災を認められる場合があります。

もし迷っても泣き寝入りせずに相談を!

諦めない

ここまでぎっくり腰などの腰痛が労災として認められるための条件や具体例を見てきましたか、最も大事なのは自分で判断せずに、会社から『労災とは認められないよ』と言われても諦めずに、労働基準監督署に相談することです。

最終的に腰痛・ぎっくり腰が労災として認められるかは労働者でもなく会社でもなく、労働基準監督署が判断するので、腰痛になった状況を詳細に説明できるようにしておきましょう!

※ぎっくり腰で労災が認められた際に労災の書き方に迷ったらこちらの記事を参考にしてください